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悟りの証明

仏教の一隻眼

悟りの証明(35)

「山の中にいて山を見る(知る)」とは三昧(一次的意識)において三昧を見る(知る)ということで、「山を離れて山を見る(知る)」とは二次的意識において二次的意識を見る(知る)ということになります。三島由紀夫の絶妙の表現「主体なき客観性」とは、客観界に自ら(主体)を置いて客観界を見るという倒錯を意味しています。「主体」があるのは「意識作用界」=「主観界」=「空の世界」であって、「意識対象界」=「客観界」=「色の世界」にはありません。私たちは、生来、キャンバスにこの世界を描き続けますが、その過程で、自らもキャンバスに描き入れてしまうという倒錯に陥るのです。私たちの誰しもが陥る倒錯がここにあります。『般若心経』の「遠離一切顚倒夢想」は私たちをこの顚倒した世界から離脱することを説いているのです。

 

仏教を理解する上で最も重要なことは、「色→空→色即空」を明確に理解することです。

色=意識の対象界=客観界=有無の世界

空=意識の作用界=主観界=絶対無の世界

色即空=意識作用即意識対象界=主客未分界=三昧=絶対無即絶対有の世界

 

(つづく)